見合い

 
会社に勤めるようになって、好きな道を歩み始めました。
高校の時文通で知り合った彼女とも、幸せな毎日が続いていました。ただ、私の親がその結婚に反対していたため彼女を長く待たせてしまい、申し訳なく思っていました。

しかし会社勤めになってから3年目になって、やっと親の許可が下りました。
早速知らせようとしたその時、訃報が届いたのです。
その彼女が突然亡くなってしまったのです。

私はひどいショックを受けました。
人生も終わりかと思うほどでしたし、彼女の親は悲しみのあまり私に当たり散らしていました。まるで私が殺したと言わんばかりにです。
その悲しみも分かりますから反論はしませんでしたが、毎日しょんぼりしていました。

私の家は農家ですが、親は、昔からの地主と言うプライドもあり、相応な人と見合いするよう私に勧めてくれました。
親戚に、まるで結婚相談所のようにあちこちの結婚の世話をする人がいました。そのことを商売にしているのでなく、楽しみにしている人でした。

早速その方の紹介で見合いをすることになり、一日デートしました。
しかしどうもお互いにしっくりこないのです。
緊張しているとかいうのではないのですが、どことなく合わないのですね。どこがかと言われても、答えようはないのですけど。
そんなわけで私は断りました。
相手方からも断りの話があったようです。
そのため第一回目の見合いは失敗となっりました。

私の親はやっぱり心配してくれて、第二回目の見合いをすることになりました。
今度はうまく行き、両者の気持ちは一致したのです。
なるべく早く結婚させてしまった方がよかろうとの思いからか、両方の親たちも付き合いを許してくれ、デートは度々していました。
私は都会に出て会社勤めですし、彼女は私の実家の近くの町の人ですので、普段の交際は手紙のやり取りが主体でした。
ところがある時、突然手紙が来なくなってしまったのです。
休みを利用して彼女の家に行ってみました。
するとどうでしょう!
「あなたは知らなかったの? 今度のことはなかったことにしてくれと、あなたの家から申し入れがあったのよ」と。
びっくりしましたが、私たちの人権なんて何も考えられていないのです。
理由を聞いても、色々あってな、と言われるだけできちんとした説明はしてもらえませんでした。
本当に何か問題があったのでしょうね。

でも私のことを親は心配はしてくれていたようです。
立て続けに、第三回目の話が来たのです。

次は結婚成立についてお話をしましょう。


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