雷の研究

 
技術顧問をしながらも、また研究をしたくなり、自分の研究室を作って雷の研究を始めたのです。冬になると日本海側の雪嵐の中に出かけて行って雷を観測したりしました。本当に忘れられない思い出になりました。。

取締役待遇の技術顧問として結構忙しく指導などしていましたが、この技術顧問はなんと約20年に及ぶのです。
最初のころは結構相談事もあったのですが、一日中相談のない日もあるようになり、暇を持て余すことが多い日々が続いたのです。
それでまた考えました。

自分の研究室を作ったのです。
測定器や実験道具も私専用の物をたくさん購入しました。部屋も倉庫の片隅ですけど仕切りを入れて部屋にしてしまいました。
取締役待遇ですから物品の購入は楽なものです。普通は何かが必要となれば、上司の許可印をもらわなければ発注できないのですが、書類上私が請求して私が許可するのですから何でも購入できます。
一通りの研究設備を整え、ほとんどの時間、好きな研究を行いました。

どんな研究をしても自由ですから楽しかったですが、やはり何か商品につながるものはできないか考えました。
そこで考えたのが、雷なのです。
よく、「雷が来たらコンセントを抜け」と言われますよね。
自動で電気機器を切り離すことを考えたのです。

切り離すための装置はそんなに苦労しなくても作ることはできましたが、雷が来たことをどうやって知るかと言うことが問題でした。

雷が近づくと、ラジオがガリガリ言いますが、その原理を応用しようとしてわけです。
でも、どのくらいの大きさのガリガリなら危険なのかデーターがまるでないのです。
日本中、いや、世界中のデーターを探しましたがありません。

そのため、冬には日本海側に雪嵐とともに雷がやって来ますのでこれを測定することにしたわけです。
測定設備を積み込んだ車で出かけるのですが、立ち往生してしまい、車の中で夜を明かしたこともありますし、雪道で突風を受けてひっくり返りそうになったこともあります。

そんな苦労をしながらデーターを集め、商品化にまでこぎつけました。
顧問をしながら商品を開発したのです。
でも残念ながらその商品寿命は長くはありませんでした。3年ほどで終了となってしまいました。

そうは言いましても、技術屋として楽しい日々を過ごすことが出来ました。
電気の道一筋に、歳をとっても、好きな道を歩くことが出来たのです。
悔いのない人生だったと思います。


いよいよ退職に至るお話を次頁でします。


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