本当の恋の
終わる時

 
私の自伝ですので本当のことを書きます。あれほど愛し愛された本当の恋の終わる時が来たのです。結婚の約束までしていたのに、突然終わってしまったのです。こんな無念な思いは皆さんには味わっていただきたくありません。

私の親は彼女との結婚を強く反対していました。
しかし私は事あるたびに、お願いし、許可をお願いしてきました。
彼女と付き合い始めて、もう6年になります。18の年から交際を始めて、24才になる年でしたから、足掛けなら7年目です。
理由は遠い所だということが第一でしたが、何かしら気に入らないというのです。
どこが気に入らないのかいくら聞いても具体的にどこと言うことは言ってくれませんでした。
まだ早いということもあったのかもしれません。

彼女を待たせすぎたのか、ノイローゼになり精神病院に入院するまでになってしまいました。
退院して元気を取り戻し、以前のように手紙を主体とする交際が続きました。
彼女の家には電話がありましたが、私の方にはありませんので、話もできません。もちろん携帯電話もスマホも無い時代です。
行きつけの飯屋で電話を借り、長距離電話を掛けたこともあります。料金は交換手が折り返し店の人に電話してきますので代金を支払う仕組みです。

長い説得の時間を要しましたが、やっと私の両親が許可してくれたのです。
明日、そのことを手紙に書こうと思っていたところに、彼女の母からハガキが来ました。
「突然のことですが、亡くなりました。今度の日曜日においで下さい」と。

ウソー!!という思いでしたが事実でした。
既に葬式も終わり、線香が薄煙を上げでいるだけでした。
そんな馬鹿なことがあっていいものかと疑い、死因を尋ねましたら、狭心症だったとのことでした。
その時、私の知っている限りでは心筋梗塞なら死に至ることはあっても、狭心症で死ぬことは考えられませんでしたが、そう言われるのなら信じるより仕方ありませんでした。
(後で分かったことですが、ストレスが重なって起きる狭心症は死に至ることが多いそうです)

すべて終わってしまったのです。
愛することも、愛されることもありません。
本当の恋でしたのになんとあっさり終わってしまうのでしょうか。

亡くなる直前には、私の名前を呼んでいたとのことでした。

母の嘆きは尋常ではありませんでした。
嘆きが怒りとなり、ぶつけるところがなかったのでしょう。私の所に何回も恨みのハガキが来ました。
誤解も曲解も、ごちゃ混ぜの内容です。
私が殺したのだと言わんばかりの怒りようでした。
でも、母親のつらい気持ちは十分わかりますから、私は一切反論はしませんでした。
半年くらい続いたでしょうか、その後パッタリ来なくなってしまいました。

一切が終わりました。

でも彼女はまだ生きています。
若いまま、今でも私の心の中で生き続けています。
写真も手紙も後日処分されてしまいましたので、物的なものは何も残っていませんが、私の心の中に生き続けています。

自伝として書きましたので、現在の家内には本当は見てもらいたくないないのですが、正直なところを書いたのです。
結婚する前のことなので、許してくださいね。
そんなこともあったのかと、笑って見てくださいね。(山の神様へ)

私の最大の青春は峠を越えました。
この後はまだ青春は続きますが、少し質が違ってきます。
結婚と、夫婦愛を築く方向に転換して行ったのです。

次は見合いとか結婚についてお話をしましょう。


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