本当の恋(続)

 
自伝ですので本当のことを書きます。以心伝心で私はその人を愛してしまいましたし、その人も私を愛してくれました。高校の時の文通から始まった恋ですが、大学に行って恋人同士になってしまったのです。

私は4年制の大学でしたが、彼女は2年制の短期大学でした。
二人とも大学生の2年間はとても楽しい青春でした。将来は結婚しようね、と約束し、時々は文通だけでなく、二人で旅行にも行きました。
私は下宿生活ですから問題はありませんが、彼女は親と一緒ですからどうやって旅行の許可を取ってきたのか不思議ですが、結構会うことが出来ました。
私は、親から生活費を送ってもらいながら、助手としての収入もあり、家庭教師などアルバイトをしたりしていましたので結構お金はありました。でもその大部分はデートのために費やしてしまったようなものです。

しかし3年生、4年生になるにつれ、彼女は結婚はまだかと待ち続けるようになりました。
私がまだ学生ですから当然無理だと承知はしていながらも、待ちわびるようになったのです。
親の反対もあり、説得は続けていましたがなかなか了解は得られず、安心が出来ないこともあったようです。

とうとう私は大学を卒業し、会社に勤めるようになりました。
それでもまだ結婚は実現しません。
待つ身は辛いと言いますが、その通りだと思います。毎日毎日が長かったのだと思います。

手紙の内容が最近濃厚さがないと感じていたのですが、ある時、暗号が潜んでいることに気づきました。
その暗号を解いてみると、精神病院に入院させられていることが分かりました。
どうやら、手紙に検閲が入っているようなのです。

夜行列車に飛び乗って、暗号に書いてあった病院に訪ねていきました。
先生に、これこれこういう人は入院していませんか、出来たら面会させてほしいのですけれと゛・・。と頼みました。
しばらくして、OKが出ました。
二人で近くを散策しても良いとの許可がでました。

二人になったら、途端に私の腕の中に崩れこみ、親に強制入院させられたことと、いうことを聞かないと電気をかけられるのよっ!と訴えたのです。
あまりにもひどい状態にびっくりし、先生に電気の件と、退院をお願いしました。
私が訪ねて行ったことは、大きな効果があったらしいです。
捨てられるのではないかと心配が高じてノイローゼになっていたらしいのです。
それが私が訪ねて行ったことで、その心配が払拭され、元気を取り戻したようです。

まもなく退院しましたが、彼女の母から、お礼の手紙が来ましたが、その中に、「厳重に入院のことは隠しておいたのですが、どうしてわかってしまったのですか」との質問もありました。
私と彼女の間にはその検閲をかいくぐる愛の力があったのだと思います。

次はこの続きをお話をしましょう。


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