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高校の終り頃、文通を始めました。まさかこれが本当の恋になっていくとは思いもしませんでしたが、一生に一度の本当の恋につながって行ったのです。自伝を書く上で本当のことを言っておきたかったので、多少差しさわりがあるかもしれませんが、悔いのない人生として記録を残しておきます。 高校は大学進学のためでしたので、まあ一応は勉強もしました。 一心不乱に勉強に打ち込んだというほどのことはありませんが、周囲がやかましければ当然身が入りません。 自分の部屋をもらっていましたのでそこでやればよいのですが、居間の近くでもあり、少し雑音がありました。 そこで考えたのが土蔵の中です。 土蔵の2階には窓があり、風も通りますから以外に快適です。音は全くしません。 母が時々おやつを持ってきてくれるだけでこれほどの環境はないでしょうね。 もちろん学校に行って、帰って来てからとか、休みの時にここで勉強するわけです。 受験のための情報は月刊雑誌が唯一の頼りでした。 パソコンがあるわけでもなく、テレビさえもありません。ラジオはありましたが、受験のための情報など全く流していません。 私が選んだのは「蛍雪時代」という月刊誌です。 色々の大学の情報や、受験の要領とか、最近の試験問題の傾向とか、多くの情報が得られます。 高校に入ってしばらくの間は、中学の時にひどく叱られたこともあり、異性に対する興味も忘れていましたのでおとなしくしていました。 無理におとなしくしていたわけではないのですが、自然と女性のことは考えなかっただけです。 そんな中、この月刊誌「蛍雪時代」に、ペンフレンドの募集が載っていました。受験勉強だけでなく、休憩を入れるためのページも設けられていたからです。 毎月、そのページはありましたが、別に興味はありませんでした。 ペンフレンドと言うのは、手紙を通しての友達になり、自分はどの大学を目指しているとか、日常はこんな風にして過ごしているなどと文通友達になることです。ペンフレンドの募集というのは、私はこういう者ですが、どなたかそう言う友達になってくれませんか、もしよろしかったらこちらに連絡ください、という一覧です。 いつもは中身を見てもいないのですが、どういうわけか3年生も後の方になってからですが、ちょっと見てみたのです。 大方は現役の男子高校生ばかりです。この人たちが手紙友達を募っているわけです。 ところが数少ないですが、女性も名乗りを上げていました。 女性がそういう手紙友達を探していると言っているわけです。 私は字が下手ですし、絶対返事が来るとは思いませんでしたが、自己紹介など書いて申し込んでみました。 私でいかがでしょうかと。 何万人もこのページを見ているわけですし、女性の名乗り出は数少ないのですし、私が選ばれる確率は極めて小さいわけです。 ところが、しばらくしたらその人から返事がきたのです。 びっくりしました。本当に私をペンフレンドとして選んでくれたのかって。 さっそくお礼方々、詳しく自己紹介し、得意科目や志望校などについて返信し、文通が始まりました。 しかしこういうペンフレンドは受験の猛勉強の息抜きが主目的だと私は考えていましたし、写真も交換していませんでした。 この後、幸い、私も、彼女も志望校に合格できました。 大学に入ってしまったのですが、文通は止まらなかったのです。 これが本当の恋に発展していくとはその頃は考えてもいませんでしたが、結果はそうなっていったのです。 この文通は本当の恋の初めだったわけです。 次は本当の恋についてお話をしましょう。 |
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