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最近はこのような制度は見られなくなりましたが、この大学は給費生という学生を募集していました。 特待生というのは今でもあるようですが、これは授業料を免除するというものです。 しかし給費生というのは、大学から一定のお金をもらい、その中から入学金や授業料を支払うのです。その一定量というのは必要額を上回るほどで、結局、卒業する時には余ったお金を大学からもらったほどです。 給費生は大学が通常の入学試験と別に、特別に試験を行い選考するわけですが、とにかく狭き門です。 全学部で1000名以上入学しますが、給費生は10名だけです。 私は電気工学科に入りました。120名いましたが給費生はこの電気工学科では私一人しかいませんでした。 給費生試験はちょっと変わっていました。受験科目を選べるのです。それも非常に少ない科目だけでよいのです。 ただし、すごくむつかしい問題ばかりが出ます。 私は高校の時、いや高校に入る前からもそうでしたが、物理と数学だけならだれにも負けない自信がありました。 ほかの科目は全くダメなのです。特に英語は苦手でした。 そのためこの大学の給費生試験に臨んでみたのです。 この試験は12月に行われ、1月に合格発表がありましたが、合格通知をもらって私よりも両親が飛び上がって喜んでくれました。 大学に入れば授業は皆と同じに受け、試験も受けなくてはなりません。 電気工学はもちろんですが、英語もありますし、製図もあります。 これらの総合点で常に上位にいないと給費生の資格は無くなってしまいます。物理、数学は問題ありませんが、他の科目でも良い点を取らないと落とされてしまいますので自分なりにはかなり苦労しました。 前期と後期の試験があります。 あるとき、前期の試験の成績が悪く、先生から注意がありました。「どうしたんだね。このままではだめだよっ」と。 後期には頑張りましたので無事通過は出来ましたけど。 3年生になった時、担任の先生から話があり、学生でありながら大学の助手を務めることになりました。 担任の先生は電気工学の先生ですが、他の学部を持たれたり、付属高校の校長を務められたりして非常に忙しく、電気工学における実験の指導に手が回りきらないためだったのです。 私が大学から助手としての給料を頂き、他の学生の実験の指導をすることになったのです。 4年生の指導まで行いました。4年生は、私を大学院生だと思っていたそうで、実情を知って驚いて見えました。 実験といえども簡単ではありません。前もって自分で学習し、習熟しておかなければなりません。 昼間の授業を受けてから、夜、実験を繰り返し、習得しました。 実はこの実験の助手は私一人ではなく、普通の学生ですが成績優秀なもう一人も選任され、二人だったのです。 そんな関係でその人とは親友になりました。 続きは次頁でお話しします。 |