忘れられない
思い出
学校のスキー

 
小学校3年生くらいの話ですが、冬の体育の時間になるとスキーの練習が行われます。
学校の倉庫にあるスキーを使うのですが、競争で取り合います。スキーは得意でしたし、忘れられない思い出の一つです。


学校のスキー
竹スキーと言うのはご存知でしょうか。女の子は普段遊ぶときは皆これです。
太い竹を八つ割りくらいにして、幅5cm長さ40cmちょっと位に切り出し、先のほうを火であぶって斜めに曲げます。
その曲げた先端には穴をあけて紐を通します。この紐を持ってさえいれば、ころんでも竹スキーがどっかへ飛んでいくことはないです。

本物のスキーは、基本的には今のスキーとあまり違いませんが、合板ではなく一枚板ですから多少ねじれが出てきます。
冬になって、雪になりますと、たいていはスキーの練習でした。たまにはグランドで雪合戦したりしましたけれども、冬になると雪ばかりで土の地面はどこにもありませんから、スキーの練習になったのだと思います。

学校の倉庫は「高の運動場」と言われるところにあり、その倉庫にはスキーが山積みされていました。
「高の運動場」と言われるにはわけがあります。
校舎の前の普通の運動場とは別に、もう一つ運動場があったのです。それが、10mくらいの高低差のある小高い山の上にあったのです。そこに登るには下の運動場から直線の道があり、そこから行きます。
逆に高の運動場からみれば、坂道で下の運動場につながっているわけですから、雪が降ればこの道は絶好のゲレンデになってしまうわけです。

体育の時間になりますと、みんな競争で駆け上り、スキー板の品定めです。ねじれのあるのは滑りにくいですからね。
そうは言いましても有り難いことに、私たちのクラスは男が4人しかいませんでしたから、駆け上がりっこしても少なくとも4位になります。ですから、まあいつでも良い板は手に入りました。

学校のスキーにはもう一つの問題点がありましたね。
みんなもそうですけど、長靴を履いていますから、スキーの止め具は「ガッチャンコ」と言ってましたが、トランクの留め金のようなものですね。
ところがほとんどが壊れていたり、寸法が合わなかったりで、現実には紐の代わりに付けられた細い縄です。
切れているのから、短いのから色々ですから選び損ねると調子よく滑るわけには行きません。
後から来た女の子たちも品定めに大変でした。

ゴチャゴチャ、わいわいしながらの結果、なんとか勢ぞろいして、あの坂道を滑り降ります。
直滑降ですけど、そんなにすべるスキーではありませんから、子供でもちょうどいい具合に滑ることが出来ました。
このスキーにはエッジ(底面横の細長い金具)が付いていませんので、さばくのには楽ですが、行きたい方向になかなか向きを変えられないものでした。

雪の多い田舎の小学校ですから、冬になると大抵スキーが中心になってきます。
私は自前のスキーを持っていましたのでそれで遊びましたし、女の子は竹スキーです。
男の子たちの多くは、親が作ってくれたソリで遊びます。
雪の多い所ならではの楽しいスキーは、忘れられない思い出の一つです。


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