忘れられない
思い出
サツマイモ

 
終戦後の食糧難の時、やけどをしました。忘れられない思い出として、姉がやっと手に入れたサツマイモのことがあります。
姉がそのサツマイモをご馳走してくれたのですが、やけどは腫れあがり大変なことになったのです。
火傷にサツマイモは良くなかったのです。


サツマイモ
大やけどをして、父に連れられて医者に通っていました。
大やけどをした原因は、家の中で電気工事のまねをしていて、囲炉裏に飛びこんでしまったのです。
当時はまだ自転車のある家は少なかったのですが、私の家にはありました。"当時の高級車"です。
父の運転で、その"当時の高級車"で医者に通ったのです。
昭和21年の事です。終戦直後で食料難です。
私の家は農家でしたので、米だけは充分に有り、お腹をすかすことは有りませんでした。
姉は町に嫁に行っていましたので、食糧難をまともに受けていました。
サツマイモは大御馳走です。
父に連れられて医者に通っているある時、姉の家を訪ねました。
そうしましたら、「ちょうどサツマイモをふかした所だから、ちょっと食べていかない?」と言うわけで御馳走になった帰ったのです。
ところがその後大変なことになりました。
身体中ぽんぽんに腫れてきたのです。熱は出ますし痛みはひどくなりますし、うなりながら寝ている状態になってしまったのです。
天井から紐を下げてもらって左手を吊り上げてもらっていますが、まるで狸をひっくり返したようなものです。
後で分かった事なのですが、やけどにサツマイモは良くないのだそうです。
誰も知らなかったのですから仕方ないのですけど、姉が一生懸命謝っていました。


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